辺境領主の看護記録1話(旧版)

2026/09/13

ラノベ

t f B! P L

ラノベ書いたんで読んでみてなー。

オレが好きなラノベはこんなんなの!ってのを書きたくなっちゃって。ゆうてラノベ自体は読んだことがなくてアニメしか見たことないんで文体がブログになってるかもしれない。小説も書いたことないからなー…。ま、すんごく書きたくなったから書いたってやつだな。

んじゃ、はじまりはじまりー。


追記

一話書きなおしたんでこっち読んでね。

https://sleep.aosns.com/2026/09/12.html


1話------------------------------ 

29歳、夜勤上等!残業上等!働きづめで彼氏ナシ恋愛経験なし!でもいいもん、とにかく貯金!どこまでも貯金!お金大好き。
そして早期退職してFIRE!悠々自適な推し活生活!40代50代からが私の人生の真骨頂だー!

…とエナドリのみながら連続夜勤でナースコール。
「あーまたかー、そういや次の給料で貯金額、今年の目標金額に届くなー…、ウヒヒ…」なんて思いながら、橋本さんのとこへ向かって階段上ってたら急にヒザがガクっ。
そう、ヒザガク。
そうか疲れ溜まってたんだな、でも明日休みだから…、とか思ってたらちょい間を置き「ドドドッ」「ボキッ」。こうして意識を失うワタシ。
ここでワタシは終わったんだって思った。

でも。
…目を開けられる。

なんか天井が高い。病室かな?と思ったけど天井がべらぼうに高い。巨人の住む家か、ってくらい高い。どうやって掃除してるんだろう、なんてぼんやり思ってたら見知らぬおじさんとおばさんがこっちをのぞき込んでくる。
怖っ、ちょっと近すぎ、え、いやまじおじさん、待ってホント待って、ほっぺたついてるって、ほっぺたジョリジョリしないで…!やだぁ…。マジやだぁ…。ちょっと汗臭いしマジやだぁ…。

この人ら白衣着てないし絶対医者じゃないじゃん。え、何、この人たち不審者?ナースコール…!ナースコール、早くっ…!

とか思ってたけどなんだか二人ともすんごく笑顔。
んじゃ「とってもかわいい女の子じゃないか、口元なんて君にそっくりで愛らしい」とか「目元はアナタにそっくりよ、とってもきれいな目…」みたいなよく見るテンプレみたいな会話をしてる…。

……

…

…あー、なるほど。

なるほどですね~。ワタシやっちゃいました。というよりできちゃいました。これ転生出来てる。ワタシ転生できちゃってる!しかもめちゃ当たりの部類じゃん。
天井高いしなんか使用人みたいな人がワタシの世話してくれてるしそれなりにいいとこの子っぽい。てかかなりいいとこの子っぽい。んじゃもう0歳ですでにFIREじゃん。うっひょー!ありがとう神、ありがとう仏!ありがとう踏み外した階段!

私はこの人生を目いっぱい楽しみます!
やっほー!前回までのワタシ!私はここですっごく幸せになれそうです!

……

…

…からの今。

「お前に領地を任せる事になった」
「…はい?」
「お前に領主になってもらう、と言ったのだ。はっはっは!これでお前も一国一城の主だぞっ!」
「…ん?はい?お父様?どういった類のご冗談でしょうか。…冗談、ですよね?お父様」
「いや、この父が愛する娘にこんな冗談など言うものか。安心しろ。領地経営を学ぶ研修だと思えばいいのだ。またとない機会となるだろう」

馬鹿の一つ覚えのように「領主」しか言わなくなった父。
え、なに、どういう事?これまで14年間何も不自由なく暮らしてきたのに。いや不自由がないといえばウソになるけれど。
赤ん坊の頃のおトイレやおしめはそりゃ何度経験しても恥ずかしい事この上ないし、もういっそ尿意なくなれぇ~!膀胱なくなれぇ~!って本気で思ってたし。

それになによりこの世界には私が愛してやまないアニメ、ゲーム、マンガがない。
だからずーっとお父様の書斎にこもって恋愛要素のある小説をひとりニヤニヤしながら読んだり、自分の部屋に引きこもってオリジナル小説をひたすら書いては読んでニヤニヤしたり。という自給自足オタクに精を出してた。
兄弟からはちょいとばかし気持ち悪がられてた、と思う。

でもそれ以外は本当に快適。
メイドさんが着替えから掃除、料理まですべて行ってくれる。料理はどれも食べたことがないほど美味しい。全部の料理が口の中でとろける。FIREという域を超えてる至れり尽くせり具合。
ああ、本当のFIREって歯がもういらないんだ…、と思った。
…なのに。私が領主?なんで?領主になったら働かなくちゃいけないじゃない。FIREは?私のFIREは?

「に、兄様を差し置いて私が領主の経験を積むというのは、その、兄様がご納得しないと存じます。周辺貴族の目もあるでしょうし」
「いや、それは何の問題もない。とにかくこれは決まった事なのだ。ノルナよ」

なんなの、どうしたの…。正直そろそろ社交界デビューかな、でも社交界デビュー怖いなー、てか生身の男性怖いなー、そんでたまらなくダルいなー、できれば二次元の世界にずっと引きこもっておきたいなー、とかは思ってた。
でもそれでもゆくゆくの結婚くらいは仕方ないと思ってた。

結婚どうのよりもとにかく働かなくていい生活の維持が最優先。…だったのに。よりにもよって領主。

…頭がくらくらする。額に手をやるとよく手入れされた銀色の髪が意味もなく優雅になびく。

「急ぎではあるが明日の朝、出発してくれ。もう馬車は手配してあるからな」
「いや、ちょっと、お父様…?お、お父様!そ、そうです!ば、場所は?場所はどこなのですか?」

違う。場所なんて聞いてる場合じゃない。早くこの悪しき会話の流れを食い止めないと私のバラ色の人生設計が終わる。

「そうだそうだ、私としたことが伝えていなかったな。場所はヴェスタリムだ」
「ヴェスタリム領って、あの国境付近の…?」
「ああ、そうだ」

ヴェスタリム領は王都からとても遠い場所だ、というくらいしか知らない。正直どういった土地柄なのか想像もつかない。

「ど、どうして急にそんな遠方の領主をしなければならないのですか…?領地経営の研修というならこの王都にいてもできると存じます…!」
「悪いが、ノルナよ…。これは本当にもう決まったことなのだ。わかってくれ。明日の朝すぐに向かってくれ。それではよろしく頼む。あとのことは任せたぞ、執事長。」
「…え、ちょっと、え」

有無を言わせず、そうして席を立つ父。父が歩み去るのがいつもよりスローに見える。バタンっ。反響のある扉の音。いつもより重く耳に残る。

そうしてしん、と静まり返った広間に取り残される私。

何が何だかわからない。頭と心臓がグワングワンしている。指先の色が変わるほどに服の裾をギュッと掴んでいた事にようやく気付く。

「お嬢様、それでは支度をいたしましょう」
「…え、いや、でも」
「明日にはここを発たねばなりません。夜にはノルナ様のご出立を歓迎した晩餐も予定されいてるのでお早くした方がよいかと」
「…う、うん、わかった」

キィー…、パタン。

どうやって自室まで歩いてきたのか覚えていない。
気が付いたらこれまで何度も二次小説を書いてきた愛すべき机、14年間私を包んでくれたベッド、そして毎日の掃除で非常に手入れの行き届いたきれいな刺繍のカーペット。いつもの見慣れた私の部屋だった。

……

…

「…は?なにこれ?聞いてないんですけどっ!?」

ヘナヘナと床に倒れこみながら思う。意味わかんない。なんで?どうして。何か悪いことした?私。父さんを怒らせるようなことした?何も思いつかない。
父さんの書斎の本を無断で持ち出したり、インクがなくなった時に父さんの書斎の高級そうなインクを時々、ほんの少しだけ"お借り"してたくらいしか思いつかない。

こんなので怒るほど心のちっちゃい人だったの?父さんは。そんなことは…たぶんないと思う。ていうかいうて中身29歳なんだから兄弟に比べたらものすごい行儀よかったはず。
もしかするとほんのちょびっとだけ?ちょびっとだけニヤニヤが気持ち悪かった、くらいなだけなはず。
それ以外は超が付くほど手のかからない模範的娘だったはずなのに。

とにかく。今できることは夕食の際もう一度父さんに直談判してなんとかしてこの領主の話を取りやめてもらうようにしないと…っ!
私は両手でほっぺたを2回、強めに叩き気合を入れなおした。なんたって私のバラ色オタクライフのためなんだから…っ!こんなところで弱音はいてるわけにはいかない。

……

…

…その夜、晩餐会。

父さんの姿が見えない。

「あのう、お父様は?」
「旦那様は今日は急ぎの用事ということでご出席できないとのことでした。お嬢様には出立前の晩餐、楽しんでほしい、と言伝を承っております」
「…そ、そんなっ!」

ガタンっ。思わず席を立ってしまう。慌てて座りなおす。やばいやばいやばい、え、いない?娘の出立前の歓迎会でしょ?うそでしょ。普通出席するでしょ。

「ゴ、ゴホンっ。失礼。で、では自室におられるのかしら?私、少々お父様と話したいことがあって」
「いえ、今日はお出かけになっております。お帰りは明日の午後の予定と伺っております」
「…そ、そうなのね、ありがとう」

回りでは兄弟が私の出立を祝ってくれている声、お母様の優しい顔、とっても温かい風景。私が事の張本人でなければ共にこの雰囲気をめいっぱい楽しめていることだろう。

でも。

終わった…。完全に終わった。音を立てて崩れていくのが聞こえる。私のバラ色二次元生活、いっさい働かなくていいFIRE生活…。さようなら私。そしてようこそ前回までのワタシ…。やっほー…。

食事はほぼ喉を通らず席を立った。

「…終わった」

お風呂、湯気の向こうでメイドが丁寧に髪を洗ってくれている。

「終わった…終わった」

鏡の前、艶やかな銀色の髪を丁寧に結い上げてもらっている。

「終わった終わった終わった終わった終わった」

ベッドに横たわる。天井のシミの数をぼんやり数える。

「終わった…終わった……終わった、終わ……った……」

完全に詰んだ。明日から本当に領主として働かないといけない。実感がわかなすぎる。

「領主、か…」

声に出して呟く。

布団がこすれる音がどこか悲しい。もぞもぞ。暗がりの中寝返りを打つ。
さすがに衝撃の事実から半日以上経過したことで思考回路が戻ってきたのか、ふとある可能性に思い当たる。

「領主なら…、領主ならまだまし、なの、かも」

そうだ、領主なら最悪働かなくていい可能性がある。働かないまでいかなくてもほぼ働かないでいい状態にすることができるかもしれない。

領民から徴税してそのお金で領土が回るなら私が働かなくちゃいけないわけじゃない。なんなら今よりももっと自分の趣味に時間を費やせるかもしれない。いや、それはちょっと楽観的すぎるけれど、でも全然ない話じゃない。
国境沿いってことは王都と比べて自然は多いのかもだけどその分特産品とかで潤ってるかもしれないし、父さんが私に選んだ領土なのだからきっとそうに違いない。魚とか穀物とかなんかそういう物資で潤沢な土地なんだ、たぶん。

そう考えると少し希望が湧いてきた。…というわけでもなく。

すぐさま悪い方向に思考が流れる。両手で頭をかきむしり体をくねくねする。「あー…!」もう絶対風邪とか引きたい。風邪とか引いたらいかないでよくならないのかな。とか思うも、ここは異世界であり体育祭の前の日ではなかった。

ならいっそ、骨、とか?骨折っちゃうとか?骨折すればさすがに父さんも行かないでいいって言ってくれるはずだよね。

…ちょっとやってみようかと布団を出ようとする。

いやだけどこのタイミングで骨折って完全に故意だもんな、と思いなおす。そしてまた布団の中で頭をかきむしりまくり、体をくねくねしまくり、そうして一夜が明けていった。

……

…

…次の日。

風邪を引けるわけでもなく、自然に骨折することも当然ながらなく。残念ながらお日柄もよく。目元には極大のクマを残して。

私は憎らしいくらいにやる気あふれて見える馬の引く馬車で、この長く親しんだ故郷、王都を出ることになった。

……

…

「いやぁあぁ~…!やっぱりやぁーだぁー…っ!」

心の中の悲鳴むなしく、馬は我が使命得たりと言わんばかりの速度で、それはもうものすごい速度で。駆けていくのであった。

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